1896(明治29)年には新しい家畜伝染病予防法が公布されるとともに、このなかに輸出入検疫の章が設定され現在のように農禁産省所管のもとに、動物検疫所で検疫が行われるようになりました。
動物検疫所は、横浜にある本所のほか、成田、名古屋、神戸、門司、沖縄の5か所に支所、さらに全国の他の主要な海空港18か所に出張所や分室が置かれ(出張所15、分室31)、輸出入される動物の検疫業務を行っています。
動物検疫所の仕事は、家畜伝染病予防法および狂犬病予防法に基づく家畜と畜産物の検疫が主体ですが、防疫体制の整備に伴って国内での重大な伝染病の発生がみられなくなった現在では、海外からの悪性伝染病の侵入阻止が最重点項目になっています。
つまり、輸入検疫が厳重に行われているわけです。
輸入検疫のしくみは、現に悪性の家畜伝染病の発生がみられる国ぐにを輸入禁止地域に定めて、その他の国は汚染可能性の程度によってランク分けし、法律で指定した動物や畜産物ごとに輸入制限措置をとっています。
家畜伝染病予防法による(狂犬病予防法によるイヌは別)期間けい留し、伝染病の発生がないかどうかをチェックしたうえで輸入者へ引き渡されます。
もし、臨床検査や血清学的な検査で、悪性の伝染病にかかったりその疑いが濃厚な動物がみつかれば、ただちに隔離・殺処分の措置
がとられます。
また、疑似疾患や発病動物と同居していたために二次感染のおそれがある動物は、疑いが晴れるまでけい留されることになります。
狂犬病も国内での発生は抑えこむ動物検疫は、輸出入する相手国とのあいだの取り決めによって相互に行われるものですから、出国時と入国時の二重チェックがなされています。
このような厳重な体制からみると、悪性の伝染病が日本へ入りこむ可能性は、ほぼ完全に断たれているといってよいかもしれません。
事実、牛疫は1924(大正13)年、口蹄疫注は1933(昭和8)年に検疫所で発病動物が摘発されて以来、国内での発生はみられなくなっています。